学習の追求と促進

脳障害の3つの観点

 障害ということばには3つの観点があります。
Impairment(欠損・不全)
脳の生物学的、細胞レベルの不全や損傷です。残念ですが、この意味で脳障害を治すことは誰にもできません(注1)。
Disability(できないこと)
歩くことができない、話すことができないなどです。発達の遅れもまだ○○できないことです。
Handicap(社会的不利)
例えば、車いすの人が電車やバスに乗るのにたいへん苦労することです。
(注1)今日、脳医学に関わる多くの研究者が再生医療にアプローチしています。パーキンソン病や脳梗塞など特定の疾患ではすでに臨床的な取り組みが開始されているようです。科学は、まだご家族の希望にはほど遠い力しか持っていませんが、決してお子さんをないがしろにしていません。

当室の立場

 当室はDisability(できないこと)にアプローチする場です。ヒトは学習を通してできないことができるようになります。親の顔を見て笑うようになることも、寝返りができるようになることも、歩いたり話したりすることも、すべて学習の結果です。傷ついた脳であっても、お子さんは日々学習しています。適切な働きかけによりできることを増やしていくことは十分期待できます。
 なお、Handicap(社会的不利)については、ヒトが社会的動物である以上、最も重要な観点かもしれません。お子さんの年齢が上がるほど切実さを増すともいえるでしょう。ただ、この観点には「社会はどうあるべきか」という価値観を伴います。当室はフォローアップなどを通してご家族と一緒に考えていきたいと思います。

対象とするお子さん

 脳障害による学習上の困難を抱えるお子さんが対象となります。困難とは障害の程度や運動面、知性面を問いません。年齢に制限はありません。
 相談・指導例としては、脳性麻痺、白質軟化症、自閉症、広汎性発達障害、ダウン症(注2)、脳挫傷、低酸素脳症、インフルエンザ脳炎、遺伝的疾患による障害…など様々です(注3)。少数ですが、成人の相談も承っています。
(注2)ダウン症を脳障害にくくることには議論があるだろうと思います。当室は学習上困難を抱えるお子さんとして相談・プログラム指導を承っています。
(注3)診断名はすべて他の医療機関によるものです。